グラウンドコントロールポイント (GCP) の重要性について
Pix4Dのトレーニングセッションを受講したり、Pix4Dのコミュニティに参加したり、ドキュメンテーションを目にしたりしたことがある方なら、グラウンドコントロールポイント という言葉はご存知でしょう。
しかし、グラウンドコントロールポイントを単なる大きな四角形の目印だと思っている人が少なくありません。
実際そういう形をしていますが、もっと深い意味があります。
本記事では、グラウンドコントロールポイントの正体と、空撮マッピングプロジェクトにおけるその重要性について説明します。
写真測量で使われるグラウンドコントロールポイントとは?
グラウンドコントロールポイント(GCP)とは、座標がわかっている地上点 のことです。
空撮マッピングによる測量では、高い精度での測量を実現するためにGCPが利用されます。数か所の座標がわかっているだけでも、広範囲を正確に測量できるのです。
GCPの特徴とその理由
グラウンドコントロールポイントは、画像上で認識しやすければどんなものでも構いません。一般的には、チェッカー盤の一部を切り取ったような形状が使われます。この形なら、グラウンドコントロールポイントが存在する「地点」がわからなくなることはまずありません。
コントラストが高いパターンの方が見分けやすいため 、ほとんどの場合は白黒のパターンが使われます。
ポイントの測量は、従来の測量法やLiDAR、あるいは既存の地図(Google Earthも含む)を用いて行います。
Google Earthの座標精度は、ひいき目に見ても不安定です。 ある調査によれば、その精度は最高で0.1メートル、最低で2.7メートルとされています。 測量に使うには精度が足りませんが、Google Map上へのオーバレイが必要なプロジェクトでは実用的な精度です。
当社お客様の事例では、グラウンドコントロールポイントとしてコンクリート製ポスト(塗料で描かれたものは雨で消えてしまうため)、ビニールタイル、野球のベース、ダンボールが用いられています。
理論上、どのような素材でもGCPを作成できます。 あるPix4Dチームがこの理論を検証するために、クッキーでGCPを作成しました。このGCPはマニュアルタイポイントとして正常に使用できたようですが、当社としては正確な座標がわからないため、このモデルのジオリファレンスが正確だったかどうかは明言できません。
GCP、自動タイポイント、マニュアルタイポイントの違い
Pix4Dソフトウェアでは、タイポイントとは複数の画像内に存在する点のことを指します。タイポイントには、ソフトウェアにより検出されたもの(自動タイポイント)と、ユーザーが手作業で追加したもの(マニュアルタイポイント)があります。
マニュアルタイポイントを使用するとプロジェクトの相対精度を高められますが、空間上の位置が定義されていないため絶対精度には寄与しません。
正確な空撮マップを得るために必要なGCPの数
意外かもしれ ませんが、ごく少数のGCPでも高精度の結果が得られることがさまざまな研究で明らかになっています。
Nevada Department of Transportationが実施した調査では、GCPを5~10個より多く配置しても精度はほとんど改善されませんでした。
グラウンドコントロールポイントの設置には時間がかかりますが、フライトをやり直すよりも短い時間で精度を高められます。当社では、少なくとも5つのグラウンドコントロールポイントを使用することをお勧めしています。
グラウンドコントロールポイントの設置場所の選び方
完全な正方形の地形を測量するなら、設置場所の選択は簡単です。グラウンドコントロールポイントを四隅に1つずつ、さらに中心に1つ設置します。
ただし、これほど単純なケースはめったにありません。グラウンドコントロールポイントを配置して精度を高めるには、次のヒントを参考にしてください。
- 低い場所に配置する。一貫性のある結果を得るには、グラウンドコントロールポイントを地表面に配置する必要があります。
- 「天然の」グラウンドコントロールポイントを選ぶ際には注意が必要。駐車場やビルの角などの目印は、類似する形状が多すぎて役に立たないことがあります。 影は使えそうに感じられますが、サイト上をフライトする間にも動く可能性があります。
- 測量対象地域が完全に平坦ではない場合は、丘の頂上と麓のように、高度が異なる場所にGCPを配置する。
- 外部の調査によれば、一般にはグラウンドコントロールポイントを何十個も設置する必要はありません: 5個から10個を目安としてください。
手描きのグラウンドコントロールポイント:手間はかからないが精度は低下
測量を急いで行おうとして、スプレーで地上に描いたX印がGCPとして使われることがあります。こうした印でもGCPがない場合よりも精度が高まるかどうかについては、現在でも議論が分かれています。
ただ、スプレーで描いた線がどのようなものか、考えてみてください。10cmほどの太さで地面に描かれることもあるでしょう。建物に比べれば小さいものの、通常のGCPとは異なり「中心」が不明瞭です。
上の各画像の中心はどこにあると思いますか?右図のチェッカー柄のGCPの中心は簡単に見つけられるでしょう。左図のスプレーペイントによるX印では、「中心」は10cmの幅の範囲内のどこかにあるとしかわかりません。これでは、満足の行く結果は得られません。
GCPをスプレーで描くのではなく、常にチェッカー柄のGCPを用いることをお勧めします。どうしてもスプレーペイントを使用しなければならない場合は、X印ではなくL字を描き、中心ではなく角を測位してください。
Pix4DプロジェクトへのGCPの追加
現場にGCPを設置して正確にマークし、空中測量を完了したら、次は何をすればよいのでしょうか?
Pix4Dのドキュメントで、プロジェクトへのGCPの追加に関する詳細な手順と最新情報をご覧ください。
グラウンドコントロールポイントの必要性
グラウンドコントロールポイントの必要性は状況により変わります。
これまで、GCPは空撮マッピングプロジェクトに欠かせないものとされてきました。しかし、その定説はゆるぎつつあります。
RTKドローンを使用する場合、 当社のテストでは、グラウンドコントロールポイントを使用しても精度の向上には有意に寄与しないことが確かめられています。
ただし、RTK未対応のドローンを使用する場合には、これまでと同様にGCPの使用をお勧めします。
グラウンドコントロールポイントを使用しなくても高精度の結果が得られることはありますが、再構築に必要な正確なスケール、向き、絶対位置の情報が得られない場合があります。再構築の精度を検証するために、GCPまたはRTKのジオタグが役立ちます。
精度の未来: AutoGCPs
Pix4Dengine はフォトグラメトリーをスケール化するためのパワフルなプラットフォームです。そして、大 きな追加機能が加わりました。
AutoGCPs は現在、Pix4Dengineだけで使用できる新しいモジュールです。名前の通り、あなたのプロジェクトのGCPを自動的に検出し、精確にマニュアルのタスクを完了させます。機械学習とコンピュータビジョンの組み合わせにより、ピクセル単位の精度でGCPの精確な中心点をほぼ即時にピンポイント認識します。
当社内のテストでは、RTKが使用できるドローンでは、AutoGCPsは「ピクセル単位の精度よりも良い結果を得た」とプロジェクトリーダーのAndrea Dottiがコメントしています。 「人がマニュアル(手動)で計測しても、結果は同じ精度だ。」
この技術は現在Pix4Dengine限定です: お試しされたい場合、Pix4Dチームへお問い合わせください。
精度が第一
測量や地図製作のプロ(およびマニア)であれば知っていることですが、どのようなプロジェクトでも成功に欠かせないのが精度です。
空撮にドローンを使用すると素晴らしい見た目の画像を得られますが、空中写真測量には正確性と精度が求められます。
本シリーズの記事でご紹介しているように、こうした目標を達成するうえで役立つツールは数多くあります。GCPはその中の1つに過ぎません。
メインの画像はAll Drone Solutionsからご提供頂きました |